日傘の女(左向き) クロード・モネ

 
 
運命をゆっくりと曲げ白日傘
思惑のシャツからはみ出す五月かな
草笛やとても言えないそんなこと
夏兆すガラスコップのミント香
 
 
日傘の絵画と言えば、やはりクロード・モネ…!
亡き奥様への想いを込めて描かれた日傘の女。
 
モネは日傘の女性の絵を何枚か描いているが、
「散歩道」のみ、奥様自身がモデルとなっており、
日傘シリーズの中では一番最初の絵となる。
顔も、唯一はっきりと描かれている。
この絵を描いた4年後に奥様が亡くなり、
悲しみに打ちひしがれたモネが、さらに数年後に描いたのが、
顔のはっきりしていない、日傘の女2作である。
 
日傘の女(右向き)モネ

bea1107a.png

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
散歩道 モネ
 
 
右向きの「日傘の女」には影がない…
これは、亡くなった妻カミーユへの惜別の気持ちを表しているという。
 
「私は新しい試みに取り組んでおります。私の納得するままに
風景画のように戸外の人物を描くことです。」
当時付きあっていた女性アリス(後に結婚する)にあてた手紙に、
モネが書いた内容である。
 
確かに、最初に描かれた「散歩道」と違って、
消え入りそうなのだ。
生きている人間の存在感が余り感じられない…
風景に完全に溶け込んでいるように見える。
 
今回の句には、左向きの「日傘の女」を合わせてみた。
こちらは影はあるけど、やはり顔はない。
描きたくなかったのか、それとも描けなかったのか…。
 
…愛しい人を追憶の風景画のように描いたモネ。
これ以降、モネは人物画を描いていない。
 
8dfe5236.jpg