この絵は、フォンテーヌブロー派の象徴的な絵として有名であるが、
作者は未だ解明されていない。
題名は「ガブリエル・デストレ姉妹」。
二人の入浴中の女性の右側が、姉のガブリエル・デストレ。
フランス国王アンリ4世の愛人である。
いかにも奇妙なポーズのこの絵、観るものに不思議な印象を与える。
 
左は妹のヴィヤール公爵夫人であるが、
何故、姉ガブリエルの乳首をつまむポーズを取っているのだろうか。
 
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「ガブリエル・デストレ姉妹」
 
フォンテーヌ・ブロー派の絵画には、
寓意的な意味が多く込められており、
この奇妙なしぐさは、母乳を連想させ、ガブリエル・デストレが
国王アンリ4世の子を懐妊したことを、示唆しているといわれている。
奥の部屋では、侍女が縫っているのは産着。
 
さらに、ガブリエルは、左手指先で指輪をつまみ、
こちらに見せつけるしぐさをしている。
そのしぐさには、アンリ4世との婚約、
あるいは結婚を強く望むというメッセージが、
込められていると言われている。
彼女は、王の遠征に付き従って世話を焼いたり、
国の政策への助言も行っていたという。
王との間に3人の子を設けてもいる。
 
王には妻がいたにも関わらず、彼女との結婚を目論み、
妻のマルグリットとの結婚の無効を教皇庁に申請する。
ところが、4人目を妊娠中だった彼女が、
あるパーティに出席した直後、急死してしまう…。
25歳でのこの唐突な死には、毒殺説も囁かれた。
結局、この絵に込められた願いが叶うことはなかったのである。
 

☆今日の俳句☆
 
冴ゆる夜の裸婦の指先謎めきぬ
乗初(のりぞめ)はガム一枚分揺られけり
注射器を登る我が血や寒昴(かんすばる)